日本の民法では、婚姻中は、未成年の子の親権を夫婦が共同で行うのが原則です。親権には、未成年者に代わって契約や法的手続きをしたりする権限(法定代理人)や、未成年者の居場所を指定する居所指定権、未成年者の財産を管理する権限など、さまざまな力があります。
ところが離婚後は、夫婦の一方だけが親権者となり、もう一方は親権を失います。
とはいえ、親権を失った者でも、親子関係自体は残ります。親権を相手に譲って離婚した場合でも、適切に手続きを取れば、子どもたちと会って交流を続けることはふつう可能です。相手を信用して離婚後の子育てを任せられるのであれば、親権を争うべきではありません。
他方、親権を争う事案には、子育てを相手に委ねられないほどに不信感が強かったり、実際に夫婦の一方が子を虐待している疑いがある場合などが含まれています。不信感が高いと話し合いによる解決は難しいです。また、虐待の有無を認定することは容易ではありません。
したがって、親権に争いのある事案は、相当困難な事件になる場合が少なくないと言えます。
離婚のための交渉・訴訟等を行っている間に、子どもの身に危険が及ぶ場合もあります。また、離婚に先だって夫婦が別居する場合、子どもを一方当事者が連れて行ったまま返してくれない・会わせてさえくれない等の対応をされる場合があります。このような事案になると、適切なタイミングで迅速に手を打たなければ、取り返しのつかない事態になる場合が少なくありません。
したがって、子どもの親権に争いのある事案は、当事者が自分で対応することはやめておいた方がよいでしょう。
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